東京の上野の十三やさんは、ほれぼれするような職人さん

ごきげんよう。

上野の不忍の池の
ほとりにある
十三やさんに
初めてうかがったのは
まったくの偶然でした。

友人と
上野にある
旧岩崎庭園という
お屋敷とお庭がある
都立の公園に
ピクニックに行った
駅への帰り道でした。

不忍の池の反対側に
十三やさんがあって
びっくり。

十三やさんは
以前から
新聞のコラムや
NHKの美の壺などで
お見かけしていて、
心ひかれて
いつの日か
こちらに
櫛をいただきにうかがいたい、
と思っていました。

思いのほか
小さなお店でした。

知らなければ
通り過ぎてしまうような。

つげ櫛の老舗で
有名なので、
ひと目でわかる店構えと
思い込んでいたので
意外でした。

小さいけれども、
端正で
品のある、
美しいたたずまいで
しばらく見とれました。

友人と
入ってみよう、
ということになって、
緊張しながらも
ごめんください、
と引き戸をあけて、
うかがいました。

中には
つげ櫛が並んでいて、
なんと、
その横が
作業場になっていて、
つげ櫛を
作っていらっしゃいました。

お店は売っているところ、
と思っていたので、
あこがれの
つげ櫛だけでなく、
作っていらっしゃる風景も
目の前にあらわれて、
どぎまぎしてしまいました。

「はじめてなのですが、
つげ櫛を見せていただけますか」
と、お願いして、
見せていただきました。

大きなもの、小さなもの、
櫛の目が粗いもの、細かいもの。
形も
いろいろありました。

どれでも
とかしてみてください、
と言っていただいて、
わけわからず、
目についたものを
友人と
手に取って
それぞれ
とかしてみました。

つげの木が手に心地よく、
とかし心地が
とてもなめらかで
するーっと
髪に櫛がとおりました。

しばらく
その様子を見ていらっしゃった
十三やさんが
私に
「あなたには荒歯がいい」
友人には
「中歯がいい」
とおっしゃって、
いろいろなことを
やさしく
教えてくださいました。

髪の太さやうねり具合、
長さなどによって
相性の良い
櫛の歯があって、
見るとわかるのだそうです。

荒歯と中歯は
櫛の歯の間隔の呼び名とのこと。

当時、
ホテルの備品の
白いプラスチックの櫛を
白くてすべすべしていてきれい、
と愛用していたわたしは
櫛の歯の間隔に
荒さや細かさがあるなんて
驚きでした。

そして
二人の髪をひと目見て
それぞれ
何歯がいい、
と見立てられたことにも
驚きました。

大きさも
いろいろあって、
家で使うなら
4寸8分が使いやすい。

持ち歩き用なら
もう少し小さいものが
使い勝手がいいとのこと。

持ち歩くときは
手持ちの
ポーチに入る大きさなどの
ご都合で選ばれたらいいのでは、
と教えていただきました。

しばらく見ていると、
見本の
お試し用の櫛に
いろいろな色があることに
気が付きました。

濃い目の茶色や
切りたてのような淡い色。

木の個性で
つげにも
いろいろな色があるのかと思ったら、
使っているうちに
色が
だんだん飴色に
変わってくるそうです。

木の家具を選ぶときに
塗装で
ダークブラウンや
ナチュラルブラウン
などの色がありますが、
なるほど、
これを表現しようとしているのだな、
と気づきました。

つげ櫛は
いつも使っていると
だんだんその人の櫛になってきて、
家族の誰かが
知らないうちに使っても
気がつくようになるそうです。

折れなければ
次の代も使えるとか。

とても心ひかれました。

持ちやすいように
手のついたものがいい
と思っていたのですが、
それはセット櫛といって、
柄の先の細いところで
髪を分けたりするそうです。

とき櫛という
柄のないものを勧めてくださり、
持ち手がないので
端のほうを持ってとかしていたら、
手のひらで
櫛の背の全体を
包み込むように
持ってみせてくださいました。

真似して
持って見ると
持ちやすくて
とってもとかしやすくて
驚きました。

たくさんの
お話をうかがい、
うろ覚えのことも
多いのですが、
つげ櫛を作るときは
何十もの工程があるそうです。

うかがったときは
やすりのようなもので
つげ櫛になりかけているつげの木を
削っていらっしゃいましたが、
仕上げのころは
サメの皮でも削られるとか。

国産のつげの木を
どのように手をかけて扱うか、
などもお話くださいました。

たまたま
お時間が許されたことも
あられたのでしょうが、
とても興味深く
うかがい、
また
見せていただきました。

つげ櫛を作りながら、
時折その手を休めて、
はじめてうかがった
何も知らない私たちの様子をみながら
お話してくださるお姿に、
作っていらっしゃる
つげ櫛へのあふれる想いが感じられて、
引き込まれました。

つげ櫛は
一生使いたいので
どれをお願いするかは、
しばらく寝かせて
考えることにしました。

そのときは
注文が混んでいて
たまたま
お店にある櫛は
その場でいただけるのですが、
それ以外のものは
3か月から4か月待ちだったので
早めにいただきにうかがおうと
思いました。

早くいただけば
早くいただくほど、
長く楽しめるので。

このあと、
つげ櫛を注文させていただいたり、
お手入れをお願いしに
うかがっているのですが、
そのたびに
つげ櫛の扱い方などを教えていただき、
楽しみな時間です。

つげ櫛との
幸せな出会いでした。

追記
つげ櫛に魅せられて、ケースを作りはじめました。
よろしければ、ご覧下さい。
写真をクリックしていただくと、ショップに飛びます。

つげ櫛ケースや ショップページ

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つげ櫛ケースから櫛を出し入れする様子です。
(上) 縦型 縦に出し入れ
(下) 横型 横に出し入れ

https://youtu.be/QIT33WsCO_4
https://youtu.be/0F6Hk7HPbHE

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